大学院法学研究院 准教授
大賀 哲

Ronald Reagan and the 2016 Presidential Election

2016.03.15

20160315

 

さて、こちらではほぼ毎日のようにどこかでセミナーやっているのですが(沢山ありすぎて、どこに行こうか選択に結構困ります…)、先日はこちらに行ってきました。

Ronald Reagan and the 2016 Presidential Election
日時:2016年3月7日 18:00‐19:30
講演:Jacob Weisberg (The Slate Group)

講演者のジェイコブ・ワイズバーグ氏(Jacob Weisberg)は『ロナルド・レーガン』の著者で、Slate誌のChairman兼editor-in-chiefです。Slate 誌は政治、文化、テクノロジーやビジネスの話題などをあつかう所謂オンライン・マガジンで、ワイズバーグ氏はそこで編集責任者をしています。政治ジャーナリストとしてキャリアを積まれてきた方で、『The Bush Tragedy』の著者でもあります。

この日は講演というよりも、司会者の方と気軽にフリートークするような感じだったのですが、『ロナルド・レーガン』についての内容から今回の大統領選挙まで幅広い話題が取り上げられていました。ジョンソン期に提唱されたリベラル政策である「偉大な社会(Great Society)」政策についての議論、冷戦下における共産主義との対峙、公民権政策や人種差別対策、福祉政策など理想と現実の溝をいかに埋めようとしてきたのかという話が多かったように思います。他方で共和党の伝統から引き継がれる「強い政府」「強い軍隊」というイデオロギーも引き摺っていた。

レーガン政権というのはアメリカにおける「福祉国家の放棄」を決定づけた大統領ということで、リベラルからは非常に厳しい評価がくだされがちなのですが、見直して見るのも良いのかもしれません。ソ連に対しての対決姿勢を強めタカ派的な外交政策を推し進め、国内政策としては大幅な財政支出の削減(とくに社会保障費)を行うわけですが、その反面で公民権政策、対人種差別政策については積極的な政策を継続してとってきた政権ですので、対レイシズムとの関係でレーガン政権を見て行くというのは面白いのかもしれません。最後にワイズバーグ氏に戻ると、トランプ現象についてそれが非常にポピュリスティックになってしまう点には注意が必要であると言っていました。大統領選の行方は外交面でもいろいろと気になるところではありますが、レイシズムや人種差別との関連でアメリカ政治の動向を注視することもとても大事なことだと思いました。

 


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