大学院法学研究院 准教授
大賀 哲

【ゼミ生向け】なぜ説明が長くなるのか?

2015.05.14

statue-416068_640現在ゼミではグループワークを中心にやっていますが、来週が国際取引法ゼミとの合同ゼミで、再来週から通常の報告回になります!というわけで、以前にもお話ししたことですが、「なぜ説明がながくなるのか?」について考えてみたいと思います。

当たり前ですが、説明が長い、または長く感じるということは、そこに「不必要な説明が含まれている」可能性が高いわけです。というと簡単に聞こえますが、これは結構奥が深い問題で、要するに簡潔な説明をするためには「不必要な説明」を削ればいいわけですが、そのためには「必要な説明」と「不必要な説明」を区別できなければなりません。これはまあ、その時々の議論の文脈もあるので、絶対これ!というのが言いにくいのですが、その説明(情報)を付加することで議論の流れ(皆の判断)が変わるか?ということを考えていただくと良いと思います。

たとえば就職の面接の時に「私はコーヒーよりも紅茶が好きです」という話(またはその他個人的な趣味の話)をする人はいないでしょう。それは「自分がコーヒー派だろうが紅茶派だろうが、どんな趣味を持っていようが・・・それによって面接官の判断が左右されることはない」ということが分かっているからです。だから面接官の判断材料になるようなことだけを話して、それを必要なことと認識しているわけです。

ゼミの議論でいえば、自分たちの主張や立場をより良く理解してもらうための情報というのは明らかに必要な議論ですが、そうでないもの、どちらとも言えないもの、というのは必ずしも「必要ではない」議論ということになります。そういったことを考えていただくと「必要な説明」と「不必要な説明」を区別できるのではないでしょうか。要するに、それを言うことでどんな違いがあって、その結果みんなの理解や判断がどのように変わってくるのか?それが明確に言えるなら必要な議論、それがうまく言えないなら不必要な議論である可能性が高くなります(と思います)。

厳密に言うと、

①(明らかに)必要な説明、

②必要になる可能性のある説明、

③不必要な説明というのがあります。

②は必ずしも必要ではないけれども、状況次第で説明したほうが良いという情報です。①は必ず話すとして、あとは②をある程度準備しておいて、議論の流れとか質疑応答とかで①と②をフレキシブルに組み合わせるのが一番良いと思います。まあ口で言うのは簡単なんですが・・・。

あとはこれに付随して、「自分でもよくわかっていないことを難しく言ってごまかす」という行為があります。心当たりがある人は多いんじゃないでしょうか…。国会中継なんかを見ていると、大臣の先生方がよくこれをやっています(笑)。特徴として、

● 秘書官の皆さんが作ったノートを読み上げているだけなので、言葉はそれなりに難しい言葉が使われています。
● しかし、(ご自身が)要点を理解していないため、説明がダラダラ長くなります。

  •  また、要点が分かっていないため質問されるとボロが出ます。「言葉の意味」とか「理由」とか非常に単純な質問をしているのに、答えが長くなります。まったく質問に答えてくれません!

これはすでに述べたことと重なりますが、要点をしぼった説明をするためには「必要な説明」と「不必要な説明」が区別できていなければなりません。説明がダラダラ長くなるのは、自分で要点が分かっていないので、つまり大事なところと大事でないところが区別できていないので、これも重要?あれも重要?とか思って、そういうことを考えながら話しているうちに、ついつい説明が長くなります。実はこれは良い反面教師で、要するにこれと逆のことをすると分かりやすい説明になります。つまり、要点を自分なりに理解して簡潔な説明を心がけるということです。

大学生くらいになると、それなりに難しい言葉も理解できて、プレゼン能力もそれなりに身に付いてくるので、「自分でもよくわかっていないことを難しく言ってごまかす」というこの行為が頻発します。で、結構それで通用してしまったりもします。しかし、これを多用してしまうと決して「良い大人」(笑)になりません!!!「分かっていないもの」を「わかったふりをしている」のと同じだからです。。。

自分が何をしゃべっているのかを意識しながら、必要十分な説明ということを心がけていただくと良いかと思います。


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