2015.04.7
数年前にゼミのテキストとして使っていました(原書はこちら)。第1章でグローバル化とは何か?何が鍵概念でどのような論点がありうるのかを、グローバル論者(積極派、悲観派)、伝統論者、変容論者のそれぞれの立場を踏まえながら論じています。第2章以降はサブタイトルにもある通り、文化(2章)、経済(3章)、政治・権力(4章)の個別領域からグローバル化の位相を論じています。重要な論点を考えさせる「課題」や各節末の「要約」など、分かりやすくするための工夫が随所に凝らされています。国際関係論の教科書のある意味で定番ですが、それぞれの問題を単一の枠組みで考察する(あるいは安易に解決策を提示する)のではなく、それぞれ理論や立場別に考察しているので、論点の多様性、多面性を理解するのには適しています。
非常にとっつきやすく入門書としては非常に優れていると思います。ただ、論点がかなり多岐に亘っており、個別の概念が少し難しいので、国際関係論の教科書的なものを一通り勉強した人が改めて読みなおしてみると良いのかなと思いました。その意味では3・4年生向けかもしれません。写真や図表、コラムや事例研究も充実していて、私たちが理論・概念から抽象的に学ぶような抽象的な事柄を、現に世界で起きている現実の問題として意識させてくれる本です。